〜リベールをとりあえず考察してみようの巻〜

「リベル・アーク」ってなんなのさ(2010.3.23)

 語源云々を探るというのに近いでしょうか。

  ・なんでこんな名前なのか
  ・いったい誰が名づけたのか

 上記二点についてつらつらと。手元にある参考資料はコレクションブック他英伝関連書籍、研究社:リーダーズ英和辞典(第二版)、研究社:羅和辞典。

 第一点。前半の「リベル」はとりあえず置いておく。後半の「アーク」。どこかに綴りがあればいいのですが自力で確認できていないので考えてみましょう。
 単純に英語で「アーク」と読むのは「arc」、「arch」、「ark」。他にあるかもしれませんが手元の辞書ではこのへんあたりが普段使いに出てきそうなところかな、と思います。このうち「arc」はきっと除外可能。意味は「弧、弓形」なので物語的にも来歴的にもかすりもしない。外観が弧を描いている……といえば言えるのかもしれませんがちょっと無理がありそうです。最下部の形があの形なのは、地上に向けて集束エネルギーで攻撃できるからじゃないかとは思ったりはしますがこれまた関係ないのでまあいいや。
 「arch」。これ単体だと「アーチ」と私は読んでしまいます、油断すると。ただ接尾語、接頭語となると「アーク」と読むようになる。有名なのは「大天使」をあらわす「archangel=アークエンジェル」ですね。接頭語では母音のせいでタ行じゃなくてカ行に変化してる模様。とにかく、意味は接頭語なら「首座の」、「第一の」、「頭目の」。接尾語なら「支配者」「君主」、「〜に起源を持つ」の意。軌跡的にすり合わせるならば「支配者」なんかが見事合う感じですね。
 「ark」。いわずと知れた箱舟です、あの。後は「古い箱」、Holy付きで「聖櫃」。「安全な場所」なんて意味もある。オーリオールを納めた聖なる箱としてあの場所を定義するならこれもまあわからないでもない。環の影響下であれば「安全である」とみなしてもいいですね。

 さて前半の「リベル」です。まあ間違いなく「リベール」の国名はここから来てるんだろうな、という作中における語源なんかを辿ってみたりなんかしてより一層迷走するわけなのですが、とりあえずラテン語にありましたのでそれを引用。「liber」は二つ意味が大別されて、一つは「文書、書物、記録」の本や文章に関連する名詞。もう一つは「拘束されない、自由な」の形容詞。英語だと前者は「library」、後者は「liberal」なんかに分化してった感じなんでしょうか。ちなみに豊穣神やら個人の自由をつかさどる女神という意味もあったりします。
 ところでアルバ教授の言葉に「彼ら(古代人)は環の力を借りて海と大地と天空を支配したそうです」的なのがあります。詳しくは現在ゲーム自体が起動できない有様なのでちょっとダメダメではありますがw となると後者「アーク」は「支配者」になるのかな、というところですね。では何の支配者なのか。データクリスタルにあった園丁さんの言葉を全文転記したファイルがあるのでそれを見ながら考えてみます。

「例えば環はゴスペルを通じて多幸感をもたらす仮想現実を市民に見せ、時には脳内物質の制御までやってのけた。
それは強力極まる麻薬や幻覚剤がいつでも摂取できることと何ら変わらない。
しかも質が悪いことに、その薬には生理面での副作用が存在しないのだ。」

 上のような一節があります。また、

「それを受け入れてしまった時我々は昏き煉獄につながれるであろう。」

 というような文もあります。
 園丁の彼女の言葉をそのまま考えると、当時リベル・アークに住んでいた人々を完璧に制御、つまりは自由を奪っていたということになります。そうなると「リベル」は「自由」の意にもっていった方がいいのかもしれません。「女神」系の訳をなんも考えずに当ててみると「女神の支配者」。ただ園丁さんの手記に、

「女神の慈悲と全能はいささかも揺らぐことはないのだ。」

 という一文があるように、女神の至宝よりも女神自体が上に格付けされてるのがわかりますのでちょっとひねって、「リベル・アーク」全体で女神のことを指してるととったほうが詩的かもです。

 じゃあ文書という意味はどこ行った、ってことになります。作中には文書や書籍を保管できるような場所はリベル・アーク内には見られませんでした。これもちょっとひねった考え方をするとまあこじつけられるかな、とw 当時のリベル・アーク人は環の恩恵を得てさまざまなものを作り出して暮らしてました。と、ここで環自体を「知識の宝庫」として位置付けるとうまいこといくんじゃないでしょうかw


 とりあえず意味はそんな感じでおいといて、第二点。いったい誰が「リベル・アーク」と呼んだのか。どうにも私としては、もともと住んでいた人が「リベル・アーク」と呼んだ気がしません。「リベル・アーク」到達前に現存している記録が園丁さん側のもののみだと考えられるからです。結社側がどんな書類を持っていたかは知りませんが、少なくともリベール各地、加えて周辺諸国に流布してるのはおそらく園丁さん側の記述。「リベル・アーク」内で残っていた記録を読むようなシーンがあればまた話は違うのでしょうけど、それより前に「リベル・アーク」という単語は出てましたしね。
 ある時代で革命が起きるとそれ以前の記録は破棄されがちです。なので、園丁さんたち一派も、彼らの言葉で語る当時以外の記録はなくしてしまった可能性はかなり高い。とはいえども3rdの園丁さんの様子を見ていると、そんなことをせずどこかに当時そのままの記録を残してる気がしないでもないんですよね。
 で、ここで、ほとんどひねらずに訳した場合の「支配者」という意味で取り上げた「アーク」が効いてきます。「支配者」っていうか、「支配」という単語自体が、その体制から半歩でも外にいる人が感じる言葉だと思います。ということは、環の存在にまったく疑念を持たない、園丁さん一派以外の人にとってはどう考えても「支配」なんて単語が浮かんでくるはずもない。必然的に「自由の支配者」と訳するならば園丁さん側が名付けたんじゃないでしょうか。そもそも「liberal」の名詞「liberty」が、自由は自由だけど「拘束、専制的支配などからの」自由というのが正式な意味になるので、ちょっと裏を返すと園丁さんの意図が見える感じもします。女神自身にはなんらの信仰の揺らぎが無かろうとも、女神が置いていったものに対してはどうかな? というのが。単に自由という意味しか与えないなら「freedom」にしておけば良いわけですし。

 今のところの結論としては、「リベル・アーク」は「自由の支配者」の意であり、反攻する際園丁さんたちがそう呼んだ名前がそのまま現代リベールに伝わってる、という感じになりますか。ちなみに私自身は物語的に表記するならば「自由の柩」としてみたいところです。変則過ぎて原型が伝わらないという点が残りますがねw

 ツッコミ等歓迎です。結社側がどうなってるのか全然わからんからどうなんでしょうな。盟主がアレな感じしないでもないし。

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