〜リベール軍をとりあえず考察してみようの巻〜

5.ところでアァタ達何してますか
 特定の連隊下には入らず、直接上級の部隊から指揮を受ける大隊のことを特別に独立大隊と呼びます。位置的に親衛隊はここに当たるかと。彼らの場合は上級部隊じゃなくて女王が指揮するわけですが、若干女王の私兵のような扱いでもあるのでしょう。大隊長は基本、中佐乃至は少佐が務めるものであり、そう考えるとフィリップさんは中佐くらいまでは行っていたのかも知れない。
 加えて、独立した活動を行うことができる最も小さな戦術単位なので、女王からの下命を賜った後は他と相談せずに単独行動可能な部隊ということになるか? 情報部とはまた違った形の、最高クラスの現場裁量権を持ち合わせている部隊と考えるのが良いかと思われます。

 そんなわけで親衛隊話。私は親衛隊は大隊が最大の戦術単位になっていると思います。リベール大隊の人数に関しては考察2で、現実の三分の一程度という点を追記に書いてます。以下言い訳。
 何度か出てきてますがリベールは小国であります。当然人は少ない。何人が軍関係者かは知りませんが、通常の大隊だと千人強になるもの。三分の一としても300人から400人が大隊として存在しているわけです。戦術単位が大隊以上であるならもっと人がいる。そんなに親衛隊が吸い上げたら他に人がいなくなってそうです。もう一つは後述の、リベール通信の書き方。
 ちなみに親衛隊はスカウト制だと思います。最初からエリートである親衛隊士としての道を約束されていたら、そりゃ上長訓練辛いぞ。エリート意識バリバリの人間を訓練することほど辛いことはないと思われます。各所で下積みをして、ちゃんと苦労してる人間があそこにいるんじゃないかな。親衛隊の中でも各部署に必要なスキルは別れているでしょうので、その方面に特化した柔軟な経験というか。多分全隊士に必要なのは人を見る目か。スカウト制をとるなら最低限のスキルだし、国家の長が誰かと謁見する時なんかにも発揮されそう。
 ちと話がずれておりますが、大隊が最大ということで結局ユリアさんが全隊士を率いることになります。あんまり説得力ないと思えど付け加えておくと、理屈に通らないことは基本苦手なので自分の燃えは優先してません。じゃあユリアさんが中尉で中隊長の時代には大隊長は誰だったんだ? 空位説を推す。多分FC終了くらいかSC冒頭のリベール通信だったと思いますが、『除隊されていたユリア中尉以下親衛隊云々』のくだりがあったように記憶しています。クーデターで親衛隊が除隊扱いされていたので、濡れ衣と判れば戻ってくるのは当然。ただ、普通大隊長がいるなら、というか一番トップの名前を書くでしょう。それがないので、中隊以上はなかったんじゃないかと。ユリアさんの名前がトップにきてるのは、この時点で他の中隊長でも突出した存在で、内々に大隊長就任の話がきてたのかもしれない。とりあえずリベール通信の書き方から推測すると、
  クーデター時点で中隊長以上がいない。
  後に大隊長の人間が出てきていることから、大隊長の座はある。
  それより上が続いて空位とは考えにくい。
 の三点が出てきました。てか空位って、トップだから空位にできるんだ……。中間管理職を空位にはできないでしょ。親衛隊といえばユリア・シュバルツという刷り込みをしようとリベール通信が記事をいぢくってる可能性はとりあえず無視で。ありうるけどね。大衆紙は面白おかしく書いてナンボの部分ももってるから。

 親衛隊は一体何をしてるんだろ、という至極素朴な疑問があります。女王やクローゼの手足はわかります。実はシードさんに用事言われて王都に出張ってきたりもします。と思えば新造艦の試験飛行で大変だったり、外国まで足代わり兼護衛になったりもします。まあ、命令系統からして普通の王国軍と同程度に考えちゃいけないところですが、遊撃部隊なイメージが私には強い。臨機応変をモットーに、呼ばれて余裕があるならどこでも出かけますよ、一応軍隊だから命令にもちゃんと従いますよ、その命令に従ってる限り何しても良いですよ、極端に言ってしまうとそんなトコじゃないでしょうか。何でもアリw
 何でもアリにしてしまうとちと幅広すぎるので、まず一番は女王以下王族警護。で、スカウト制をとってるとするなら、自然城内や軍内の情報は入ってくるだろうので、若干内部監査というか、情報部と似た部分も持ってるかな。付随して意見なんかも言っちゃってるかもしれない。
 ただ政治には口出しできないでしょうから、政治的ブレーンは絶対他にいるはず。後ろ盾がいないと政治はできない。軌跡には文官の姿が見えないんだ、文官が。出てくるのが軒並み軍人だっていうのが気持ち悪い一因だな。王城の行政区画にいたモブキャラ文官じゃない。話の根幹に関わる、権謀術数バリバリのブレーン役をグランセル投入に一票(しらんがな)。各地方の市長がその役を担ってる? でも彼らは自分の地方だって守らないといけない。むしろそっちが先のはず。地方は中央と対立する時だってある。コリンズ校長? いや、あの学校は政治的に無縁であることを良しとしてそうだからそれもなさげ。どこだ、どこにいるんだ! 宰相閣下のような敏腕文官はどこにいるんだ! (オズボーン氏は文官だと思う人です。武官じゃないでしょ。たしなんではいるでしょうが、宰相まで武官だったら帝国、拡張する前に滅びます)
 よく思考が脇にずれる考察です。文章で書いてるんだから消せという話ですが、それもまたよし(よくない)。気を取り直して、親衛隊は実は一般兵と階級的にはそれほど変わらないんじゃないかという話へ。というか、月光四色話の時点で既に私はその認識だったりする。一番トップが尉官で、当然他の中隊長や小隊長、隊士たちはそれ以下。国内ではエリートだという親衛隊がなぜ? 当初感じてた疑問です。この辺は愛しの第四夫人様こと水嶋様との語りで大分埋めてきました。
 階級を上にすることで増えてくる責任で動けなくなったら元も子もないし、権力が集中してるということになればこれも公平な判断がしづらくなる。階級がそれほど高くなければこそできることもある。でも実は階級以上の権限ももっている……そんな辺りで。例えば王国陸軍少尉と親衛隊少尉がいれば、優先されるのが先任かどうか関係なく親衛隊の少尉の方とか。陸軍少尉と親衛隊准尉だったらどうなんだろう。そういう規定も細かく決められてるんでしょうな。下の階級の人間が一時的にでもトップに立つ事態に陥った時、上の階級の人間はどう出るのか。そんなところを観察してたりするのかもしれない。
 あと、断固譲れないのは名誉職である線。ユリアさんなんかを見てるとそれが一番プライオリティ高そうです。もちろんそこからなり上がりを目指してる隊士だっているでしょうがね。激務だろうのになぁ。明らかに王国軍の何でも屋チックだから、半端じゃない仕事量ありそうで。通常の規律内だったら与えられた役割がきちんと決まってるけど、親衛隊はそれがない感じがします。何らかの保障は見えずとも存在しているでしょうが、切り飛ばされた左翼を拾ってつなげるとか言い出す無茶な隊長もいることだしw 何が言いたいのか段々考え込みすぎてわからなくなってきたですが、親衛隊に入れるような人間が、目先の給料や保障が目的だとは思えないということ。トップがアレだから余計に。
 蛇足的に、女王様の親衛隊士はきっと宝塚みたいなスローガンがありそうなので、へんなエリート意識もった人はいない気がする。現大隊長はそれを許さないだろうし、フィリップさんだって許しそうにない。

 じゃあ親衛隊内部ではどんな風に分かれてるんだろう。確実に分かれてるだろうのは、アルセイユ組と地上勤務組。アルセイユ組の、特に艦の運行管理をしている面々や技術職(作中ではアルセイユクルー)は、艦長が王城で仕事してる間も多分飛行訓練や艦の手入れをしているはずです。飛行訓練も、艦長不在の時でもやってないとおかしい。これは航空艦隊と合流させてもらってるでしょう。特に艦橋組の隊士たちは航空艦隊から引き抜かれたって思うのが自然じゃないでしょか。訓練は十分だし。で、それ以外のアルセイユ組は隊長にくっついて王都と基地を行き来してるかもしれない。あんまり作中では目立ってませんでしたが、あの船にも中隊程度の人員は搭乗してることが想像できます。元々ユリアさんが率いてた中隊の面々がそのままシフトしたかな? 艦橋組やクルーが運行管理なら実際に武器を手にとって戦う人間たち。彼らは彼らで訓練をしないといけません。王都にいるときは王都警備隊と、基地にいるときは一般兵たちと。市街戦から野戦まで訓練できそうだw
 地上勤務組は事務方含む。アルセイユが単独飛行しているときの管制官はやっぱり親衛隊の管制官な気がします。特殊な通信帯つかってたり。部隊が違うと何が機密になるか判りませんしね。とはいえ親衛隊の全てがアルセイユに関わってるとは思いません。アルセイユ前から親衛隊は存在してますので、それまでやってた仕事があるはずです。むしろあの船のために人員増加したかもしれないですね。アルセイユは結構寄せ集めメンバーな気がします。技術職は間違いなく中央工房から引っ張ってきてるでしょうし。幾度か訓練や有事を繰り返して一つになるような形が私には一番しっくりきます。次の辞令でまた同じメンバーになるとは限らない。アルセイユと同機能の新造艦が複数できたならば、アルセイユの面々はバラバラにそれに乗るはずだから。
 で、艦長。なぜか考察1で見事に話がずれて艦長話で終わりましたが、「艦長は、1艦の首脳である。艦長は、法令等の定めるところにより、上級指揮官の命に従い、副長以下乗員を指揮統率し、艦務全般を統括し、忠実にその職責を全うしなければならない。」(自衛艦乗員服務規則第3条)人です。出所がアレですが、基本的にどの国でもどの時代でもこれは変わらない。艦内で最も仕事が多い、最も忙しい人です。ことに出港入港時の忙しさは尋常じゃない。
 作中の様子を見ていて、多分入国管理の権限はもってそうだなーとは思いました。国際線で運用してるし。艦内での争いごとも調停しないといけないし、場合によっては処罰も下したり。艦船はそれ単体で一個の国で、艦長が国家元首と思うのが一番楽です。そしてなにかあって船を遺棄せざるを得ないときは、退艦は最後。一回それでお話かいた事ありますが非常にユリアさんに似合う辺りがなんともw とまあ艦長という職責だけで忙しいことこの上ない。もちろん陸にいるときだって艦長は忙しいわけですよ、書類の整備から訓練計画から。それでも親衛隊本来の仕事をしたいと思うその心意気は純粋に感動です。

 リベールの親衛隊を見ているとどうしてもタマネギ部隊が思い浮かんで仕方がない。というよりリベールという国自体がマリネラに見えて仕方がない。自分がパタスキーだってことも多分に影響しているとは思いますが、存在の仕方が似てます。ま、何が元ネタかなんて物は公式に突っ込んでいかないとわからないわけで。どうしても自分が知っているものに当てはめてしまうのはご容赦を。

 今回のご協力者は愛しの第四夫人様。お茶会議題って素晴らしい。

2007.11.14

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