〜リベール軍をとりあえず考察してみようの巻〜

3.眼力出る人いませんか。
 アラン・リシャール元大佐を筆頭に特務兵を抱える、王国で最も新しい部署にして最短で解体させられた部署。部署長の現場裁量権は相当見受けられる。特務兵をかなり私的に使ってる印象があります。
 自分の偏見なのか何なのか、情報部とか特務兵とかは通常秘匿しそうな感じがあります。諜報に宣撫工作だべ? 表に出るべきじゃない。ちなみに今でこそMI6(正式名称SIS、イギリス情報局秘密情報部)はイアン・フレミングの手によって全世界的に有名になりましたが、元々はイギリスはこの存在を否定してました。国外情報収集を主にする所。非常にどうでもいい蛇足として、国内事情はMI5が担当。
 ナントカ資料室と名前を付けておいてその実は諜報機関だったというのは良くある話。内部にいればすぐわかるけれど、対外的にはそれとわからないようにするのがポイントだと。ところがところが、タマネギ一号率いる王国軍情報部、トップが副官連れて国中フラフラしてました。インタビュー受けたりなんかして大々的に「情報部」という存在を喧伝しております。特務兵も、その名前からして隠すべき存在なのにねぇ。
 確かこの辺りは、わざと自部署の人気を上げて王宮地下の遺跡を思うがままに使おうというのが最終目的だったか。そのためには軍上層の秘密を探り出して弱みを握るという、ちょっと間違った力の使い方をしております。
 「情報部」の喧伝ですが、まあこの部の仕事としては正しい。印象操作は大成功していたわけですし。印象操作の対象に部自身が来るのは珍しいパターンな気がしますが。

 「情報部」以前に情報は不要だったか。これはありえない。どんな時代でもどんな戦い方でも基本は情報。正しい情報を迅速に入手するのはそれだけ優位に立てるということです。戦役時代に王国はきっと嫌というほど実感したに違いない。おそらく帝国情報部はもうずっと前からあったでしょうし、それに習って設立された感じなのでしょうか。情報を専門に扱い、整備し、分析し、時には隠匿する、そんな仕事。悪用すれば人の弱みなんか簡単に握れる、ちょっとダークな部課でございます。
 上手く情報を使うことができるなら、実際ホットな戦争になることを回避するのは可能。冷戦時代が証明です。ギリギリの、一歩どころじゃなくて半歩間違えて踏み出したらもう火の海、それを首の皮一枚で保っている感じ。まさに戦役後十年のリベール対帝国のような感じ。
 ところで、リベールは結構いい水準の軍隊持ってるかと。それなのに情報部が本当に近年でしか設立されなかったのは何でだろう。女王も将軍もその辺りはきっちりわかってそうなのですが。  もしかしたら、情報部という名前ではないけれど、ちゃんとその手の機関は設置してあったのかもしれない。秘匿されるべき部課のために本当に秘匿されてて、戦役を経てその重要性を嫌というほど理解したから情報部として設置した、とかなんとか。特務兵の何割かはその前身からそのまま引き継いで使ってるのかも。
 規模は少なくとも親衛隊よりは多かったはず。どこかのリベール通信に記述があったはず(AKI様情報)。3rdの通信大量取得で読んでみるのが一番ですね(まだ読んでないのか)。SC以後、情報部の面々は民間に降りていますが、給与の問題で全員はやしなえてないと思いますです。ミラノさんとかが顧客にいるので、結構金払いのいいお得意さんが多そうですが、流石にいきなり部全員は養えないでしょう。3rd扉で、王国軍兵士(の格好のみの可能性あり)がタマネギのところにきて、再決起を促してた気がしますので、二分割乃至は三分割くらいしたかな、と。だって王国軍にもその手のプロは必要です。その手のプロが全員情報部に入って、その情報部全員が民間に下りたら誰もスキル保持者がいないという事態になりそうですね。王族と軍上層は、その本人にしか動かせない間者は使っているでしょうが。軍として情報統制ができる部署がないわけで。

 最初の方にグダグダ書きましたが、情報部は基本的に存在を秘匿するもんです。でもリベールの情報部は存在をおおっぴらにして、尚且つ人気がありました。情報部の仕事内容を考えると決して人気になるようなところではないのですが……例えトップが気さくで、イメージ戦略を打ち出していても無理がある。真実だが全てはないという、いかにもオトナな理屈で全てが動いて、国民は実は詳細な情報部の役割を知らないんじゃないかと思ったりもします。知ってたら裏方が出張ってきてることに疑い持つでしょw いろいろ言いますが要するにスパイですよね。
 タマネギ一号は士官学校卒業後パパの独立部隊に入って、ありとあらゆることを経験したとインタビューで語ってます。このとき、きっと諜報活動の基礎を学んだんだろうなーと思います。何も素養のない人間が新設部のトップに来ることはできませんし。その後、実際に作られるまでの間にもずっと勉強してたでしょうけど。

 帝国情報部からの情報や、国力の差を理解して取った行動が百日戦役かと。そういうところなのにパパさんの情報はそれほど伝わってなかったのでしょうか。ただの一大佐と科学者のオヤジというのだけ? 実際が伝わっていたならまずイの一番に彼らを押さえにかかりそうなものなのですが……。戦局を一気にひっくり返せる潜在能力をもった人たちですし。そこまで掴み取ることができなかったのかもしれません。
 ただ、情報部の登場は、実際に人が血を流して倒れる戦争から諜報戦へ時代が移りかかっているのを示唆している気がします。人が死なないからいいのかもしれませんが、流言飛語に一般人が惑わされる可能性も出てくる。本当に大事なことから目を反らされて。実際作中でそらされていたので、それが今後も起こらないとは限らない。もっとも、どこでも流れ出す情報は確実に淘汰されているので、情報部がなくてもきっちり情報操作に乗せられてしまっているとは思いますがね。
 情報部に代わる部隊は作る、というのがパパの弁ですが、なかなか目処は立っていない模様。民間のタマネギに頼む辺りが、結局元情報部とたいした変わりがない気が。お気軽に頼んでいる辺りが、本当にそれでいいのかと小一時間問い詰めたいです。別に頼むのは構わないのですが、ジークという目立つ連絡手段で何故w もっと秘匿しろよ、対外的には「軍の情報収集を民間に頼んでいる」状態ですがな。お気楽軍隊極まれり(苦笑)。

 鳴り物入りで設立された新部隊。トップも副官もその時点で投入できる最も優秀な人間。予算は潤沢、与えられた現場裁量権もおそらく最高クラス。性格的にそれのみで独立活動できそうですし。多分、リベールという国自体の内部監査機能も期待してたと思う。専門に訓練された部下大勢。どれだけこの部に王国トップが期待していたかが本当に良くわかります。それが、例え愛国心の為とは言え、そして、例え結社に踊らされたとはいえ、クーデターという結果になったことはさぞ無念だったろうと思わずにいられません。

 情報ありがとうございました!

2007.10.28

戻る