「難しい話はそこまで。ケーキが焼けましたわよ」

「結論としては今後もう少し丁寧な商業展開をしていくのが良いと思う」
「ボクとしてはガンガン攻めていっても問題ないと思うんだ。そのほうが攻められた側も危機感をもって臨むようになる」
 声がかけられたのはそんな議論をリシャールとしていたその瞬間。なんだろうと辺りをうかがうと、奥の部屋の扉が開いた。現れたカノーネが持っていたのは、作ったばっかりと思しきケーキ。
「よかった、間に合ったようだね。お忍びの方をむりやり捕まえて難しい話を振ってしまったお詫びとでも思ってくれませんか?」
「えっ……?」
 カップを持ったまま呆然とするオリビエ。リシャールが苦笑してオリビエに向き直る。
「今日は貴殿の誕生日でしょう。たいしたことはできないが、絶品の手作りを味わっていってくれませんか?」
「突然ケーキを作ってくれだなんて何事かと思いましたわ。けれど美味しく食べていただけるのならわたくしもそれ以上のことはありませんことよ」
 ちらりとカノーネがリシャールに視線を向けると、彼は参ったなと苦笑いをして頭を掻いた。
「……ううん、こんなことまでしてくれるなんて。本当に、心からありがとう」




   *   *   *   *   *   *   *

 カノーネさんは絶対ピンクのふりふりエプロン! そう信じて描きました。あまり色は濃くしなかったのは、髪の毛が濃い目のピンク系なので絵的に濃くなりすぎそうだったので。パステルでもいいじゃん、乙女っぽくて。カノーネさんは乙女だ(きっぱり)。
 大佐はオリビエがルーアンにいるのを見つけてまずカノーネさんにケーキの依頼をしたそうな。

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