「私は、何もできない」

 そう言った双眸からボロボロと涙が零れだす。無人の艦橋、無人の船。何もわからず一人立つ。いかほどの思いがこの船にあるのか計り知れない。
 だが泣けばいい。涙と共に全てを吐き出せ。何もなくなった時にきっといつもの貴女が戻ってくる。そんな弱い貴女を笑うものがいるなら俺が盾になろう。


 偽物とわかるまではことあるごとに涙流そうとしてたかもしれない。泣くことは弱いことじゃない、と思う。感情の整理としての涙ならば、それを流せることのほうが強い。

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